2025年問題と「大相続時代」の到来
~社会が迎える相続の転換点~
2025年、いわゆる「2025年問題」が社会全体の大きな転換点として注目されています。これは、戦後のベビーブームで生まれた「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者となり、日本社会にさまざまな変化をもたらす現象です。その一つが、“大相続時代”の到来です。
団塊世代の高齢化がもたらす相続の急増
団塊の世代は日本国内におよそ800万人以上いると言われています。2025年以降、この世代が本格的に相続を迎えることとなり、全国で毎年100万件超とも言われる膨大な相続が発生します。これは、これまでに例のない“相続バブル”とも呼べる状況です。
増加する相続トラブルと「争続」リスク
相続案件が急増する中、遺言書が無いまま相続を迎えるケースや、複数の相続人同士で遺産分割を巡るトラブル、いわゆる「争続」も増加傾向です。特に、少子高齢化や家族の形の多様化で、これまで想定されなかった複雑なケースも見受けられます。
認知症リスクの増大
2025年以降は認知症高齢者の増加も予測されています。認知症になると財産管理や遺言作成が難しくなり、生前対策をしないまま相続を迎えるリスクも高まります。これがさらなる相続トラブルの原因となることも懸念されています。
今後の相続対策のポイント
「大相続時代」に備えるため、以下のような対策が重要視されています。
- 早めの遺言書作成
- 家族・親族間での生前の話し合い
- 生前贈与や信託など多様な財産承継手段の活用
- 専門家への相談による相続税・手続き対策
社会全体で考えるべき「大相続時代」
相続は個人や家族の問題だけでなく、空き家問題や不動産の名義未登記、地域社会の資産の流動性にも影響を与えます。2024年4月からは相続登記が義務化され、行政・社会全体でも相続対策への関心が高まっています。
まとめ
2025年問題をきっかけに本格化する「大相続時代」は、社会の構造を変える大きな出来事です。相続トラブルを未然に防ぐためにも、早めの準備と家族でのコミュニケーション、そして信頼できる専門家への相談がこれまで以上に大切となる時代が到来しています。